風刺画「ロバを売りに行く親子」の元ネタやメッセージを完全解説!

ロバを売りに行く親子_風刺画

この記事では、風刺画「ロバを売りに行く親子」を解説しています。

目次

風刺画「ロバを売りに行く親子」とは?

ロバを売りに行く親子_風刺画

この風刺画は、「何をやっても全員を納得させることは難しい」ということを表す4コマ漫画です。

漫画の下に「全ての人を納得させる難しさ。」と書かれており、これがこの風刺画の正式なタイトルと言えそうです。

この風刺画はイソップ寓話の「ろばを売りに行く親子」を元ネタとしているため、「ろばの風刺画」「ロバのやつ」などとも呼ばれることがあります。

詳細については後述しますが、この風刺画はもともと2012年に英語でFacebookに投稿されたものです。

日本国内では2015年3月の下記ツイートをきっかけにしてTwitterを中心に広まりました。

現在でも定期的にこの画像がTwitter上でバズることがあるため、見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。

漫画の解説

<1コマ目:左上>

老夫婦がロバに乗って歩いている。

すると、通行人たちが「2人で乗るなんてロバがかわいそうだ!」と文句を言う。

<2コマ目:右上>

2人とも乗るとロバがかわいそうだということで、おじいさんがロバに乗り、おばあさんはロバから降りて歩いている。

すると、通行人たちが「爺さんだけ楽をして婆さんがかわいそうだ!」と文句を言う。

<3コマ目:左下>

おばあさんに楽をさせようと、おじいさんがロバから降りておばあさんを乗せてあげた。

すると、通行人たちが「爺さんを歩かせて自分がロバに乗るなんてけしからん女だ!」と文句を言う。

<4コマ目:右下>

結局、老夫婦はロバに乗らずに歩くことにした。

すると、通行人たちが「あいつらはロバの正しい使い方も知らないバカだ!」とあざ笑う。

結局、どんなロバの乗り方をしても怒られたり笑われてしまう(=何をしても全員を納得させることはできず批判を浴びることがある)、という現代の理不尽さを描いた風刺画となっています。

風刺画「ロバを売りに行く親子」の元ネタ・出典は?

この風刺画の元ネタとなった4コマ漫画の作者はナイジェリアの風刺漫画家Mike Asukwo氏で、この漫画は氏が2012年6月にFacebookで投稿したものです。(Facebookの投稿へのリンク

もともとの漫画ではおじいさんにフォーカスが当たっており、おじいさんは1コマ目から順に「Wicked Man(悪い爺さん)」「Selfish Man(自己中心的な爺さん)」「Stupid Man(愚かな爺さん)」「Clueless Man(無能な爺さん)」と呼ばれています。

左下の3コマ目だけは、オリジナルの英語版と日本語訳版で意味が変わっていますね。

オリジナルの英語版では一貫しておじいさんが批判されているのに対して、日本語版ではおばあさんが文句を言われています。

また、もともとの英語版4コマの題名は、「THE PROBLEM WITH GIVING IN TO THE URGE TO PLEASE EVERYBODY (全ての人を満足させようという衝動に屈してしまう問題)」となっています。

この4コマ漫画は日本のみならず海外でも評判となり、様々な言語に翻訳されてインターネットやSNS上に掲載されています。

風刺画「ロバを売りに行く親子」のメッセージとは?

どう頑張っても全員を納得させることは不可能なのだから、「他人の意見をいちいち気にしても仕方ない」「周りの人の意見に流されすぎるな」という意図で使われることがあります。

イソップ寓話「ロバを売りに行く親子」は小学校の道徳教材に採用されており、道徳教育においても「周囲の意見に流されない、自立することの大切さ」をテーマに教えられることが多いです。

その一方、周りの人の意見が本質を突いていることもあるため、「周囲の意見を一切聞く必要はない」と理解してしまうのは危険です。

周囲の意見に加え、自分自身のこれまでの経験や方向性などを踏まえて、最終的には自分で判断し決定することが重要であるからです。

また、「全ての人を納得させるのは難しい」という文脈から「全員を納得させる完璧な方法は存在しないため、そのうえでどう振る舞うかが重要である」ということを考えさせる現代風刺ともなっています。

さらに、漫画の通行人たちが全て同じ人物として描かれていることから、

最近では「何をやっても批判すること自体を目的にした人たちは批判する」という意図で、批判しかできず対案を出せない政治家や評論家を揶揄する目的で使われる場合もあります。

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